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ハリーポッター死神の秘宝・第14章「泥棒」 [書評・映画評]

第14章「The Thief」

帰る場所のなくなった3人は野宿です。ハリーはヴォルデモートの意識に入り込み、ある杖職人を知りました。そしてその意識の中にある泥棒を知ります。どこかで見たことのあるような顔に悩みます。

3人が移動してきたのはクデウィッチ世界大会で来たことのある森でした。ロンが大怪我をしています。上腕部の肉が奪われています。ハリーをねらうヤックスレイの魔法呪文を身を挺してかばったための怪我だそうです。ハーマイオニーのバッグから薬を取り出しますが、ハーマイオニーは手が震えて蓋が開けられません。ハリーが蓋を開けて、ハーマイオニーに渡しますが、強力な薬で、見る見るうちに傷口がふさがります。
一度はグリモールド・プレースにたどりついたのですが、移動魔法を使う瞬間にヤックスレイがハーマイオニーを捕まえて振りほどけず、ヤックスレイも一緒にグリモールド・プレースに来てしまったのです。ここが3人の隠れ家であることに気づいたヤックスレイが力を緩めた隙に、ハーマイオニーは彼をふりほどいてもう一度移動したのでした。ハリーは最初ここがホグワーツの森かと思いましたが、一番危険な場所なのでそんなわけはありません。
結果としてヤックスレイをグリモールド・プレースに招いたことになってしまったので、これからは彼は自由に出入りできることになります。彼がデスイーターを引き連れて入り込むことも可能です。したがって、ハリー達はもうグリモールド・プレースに戻ることはできなくなりました。クリーチャーのおいしい食事を食べることはもうできなくなりました。
ハーマイオニーは泣いて謝りますが、ハリーにも責任があります。アンブリッジの部屋からマッドアイの目を奪い取ってきたことから侵入がばれたのですから。

ハーマイオニーは野営の事も考えてテントも持ってきていました。世界大会の時にみんなで泊まったウィーズリー家の魔法テントです。アーサーから借り受けていたそうです。周囲に魔法の結界を張って誰にも侵入できないように、そしてマグルには見えないようにしてテントを張りました。もっとも強力な魔法力を持ったデスイーター達には見つかれば侵入されてしまいますが。だから移動を繰り返さないと危険ですが、とりあえずロンが落ち着くまではここにとどまります。
ハーマイオニーが会話の中でヴォルデモートの名前を出そうとすると、あわててロンが遮りました。この名前にはなんとなく魔法がかけられているような気がするから使わない方がいいと言います。 ハリーは、ダンブルドアが名前を恐れる必要はないと言っていたと言いますが、ここはロンと言い争いをしたくはないので従います。

テントの中でお茶を飲んでくつろぎますが、今夜はクリーチャーの元に返る予定だったので食料はまったく用意していませんでした。話はカタモールの家族がどうなったのかに及びました。楽天的なロンは無事に逃げられたと思っています。捕まってアズガバン送りになんてなってしまったら自分たちの責任でもあるので心配ではあります。

さて、ロケットは、というとちゃんとハーマイオニーが奪ってきていました。受け取ったロンが言いました。
「何か感じないか?」
ハリーが受け取ると、なんとなく血の気が引くような気分になりました。ロケットの中で何かが波打っているような感じがします。壊す前に開けてみようと試みますがやはり開けることはできません。とりあえずはハリーが首からぶらさげることにしました。
ハーマイオニーは見張りがてら食料を探しに行きました。キノコを少々見つけただけで今夜の食事としました。

ハリーは眠れません。あれこれ思いが広がりますがマイナスイメージばかりです。次のホークラクスについてはまったく検討もつきません。次が見つかるまでに一人も生き残れないんでは。額の傷が痛み出します。クリーチャーはこの一ヶ月で態度が変わりましたが、デスイーターが入ってきて、彼らを快く迎えているかもしれません。ハリー達のことをしゃべっているかもしれません。ダンブルドアはどうしていろいろ教えてくれなかったのか不満がつのります。いつの間にかうとうとしていました。

「私によこすんだ!グレゴロビッチ!」
目の前に魔法で逆さまに吊された男がいました。白い髭をはやしたサンタクロースのような顔の男です。
「今は持っていない。何年も前に奪われたんだ!」
このヴォルデモート様に嘘をつくな、グレゴロビッチ。何でもお見通しだ」
吊された男の恐怖の瞳が大きく広がりその中に映るものが見えてきました。町の路地にグレゴロビッチの小さな店がありました。店の窓から鳥が飛び込んだかのように金髪の若い男が飛び込んできました。ハンサムな男でした。そしてグレゴロビッチに呪文をかけると窓から飛び退いて笑い声と共に消えていきました。
「その泥棒は一体誰だ、グレゴロビッチ」
「見たことのない若い男だった。いや、お願いだ、助けてく……」
緑の光線が走った瞬間、ハリーはハーマイオニーに起こされた。彼がまたヴォルデモートの意識の中に入っていたことはハーマイオニーにはお見通しでした。夢までコントロールはできない、と言ったがハーマイオニーには通じない。
「あなたはまたヴォル……」
「だめだよ、その名前を言っては!」
ロンがあわてて遮ります。
ハリーにすれば今見た内容の議論をしたいのにハーマイオニーには興味がないようです。
しかたがないので、ロンとだけ話をします。彼はとうとうグレゴロビッチを見つけたようだ。しかしハリーの杖のことや、別の杖を作って欲しいなどの話は一つもせずに彼を殺したようだ。いったい彼は何をさがしていたのだろうか。泥棒が何を盗んだのか考えようとしました小さすぎてよくわかりませんでした。
そして、あの金髪の若い男をなぜかハリーには見覚えがあります。グレゴロビッチの記憶だからかなり昔の記憶なのに、ハリーにはすごく近いような感覚がありました。まるでフレッドやジョージを見るような。

ヴォルデモートは新しく捜している物をホークラクスにでもしようとしているのだろうか。でもハーマイオニーの調べではほとんど限界に来ているのだからこれ以上危険なことはしないはずだろうと。魔法省や魔法世界を掌中に収めているにもかかわらず遠くに行ってまでグレゴロビッチが所有していて、名の知らない泥棒に盗まれた物を追い求めているのはなぜなのか。
とにかグレゴロビッチが死んだ今、今度はあの若い泥棒が狙われるのです。ロンはもう眠っています。ハリーももう一度眠りに入りました。


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