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映画「蜜蜂と遠雷」 [書評・映画評]

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約2時間の上映時間のほとんどがピアノ演奏という、とても贅沢な映画。コンサート会場にいるような雰囲気で、ソロのピアノ演奏、オーケストラとの協奏曲を何曲も聴ける。
国際コンクールなんだから、楽器も実際の演奏をしている人たちも本物の音楽を流してくれる。音楽好きには至福の時間だったと言える。

原作は未読。ピアノコンクールに出場する4人の若者の物語。第1次審査から始まって、最終審査の演奏まで。結果発表はエンディングの字幕のみ。
原作は4人のそれぞれの物語らしいが、映画ではその中の一人の女性を主人公にした物語に編集。原作でどうなっているのか知らないが、主人公が他の3人とも関わりを持つ形で4人の物語という形式は維持している。

主人公は松岡茉優演じる元天才少女。しかし母親の突然の死でピアノが弾けなくなり、無理に出場した演奏会でまったく弾けずに逃げ出して7年が経過。復活を果たす舞台には、かつて逃げ出したときにその場にいた人物達が同じ位置で迎えている。彼女もその時の衣裳とそっくりの衣裳を着てステージに立つ。復活と再出発の物語に映画は重点を置いている。

他の3人もそれぞれの立場でそこにいる。しかし原作を読んでいないと不十分。経過がわからない箇所がいくつもある。
コンクールの出場者の一人である松坂桃李と常に一緒にいるブルゾンちえみの立ち位置が不明。コンクール最中に音声調整室にいたり、出場者のインタビューをしたり。そういう公式の立場でありながら、なぜ出場者の一人と常に一緒にいるのか。
存在不明と言えば、クロークにいて最初から最後まで座ったままでイヤフォンで演奏を聴いている片桐はいりも意味不明。何か意味があるのだろうか。

審査委員長の元天才少女と呼ばれた斉藤由貴の存在は貫禄ある。不倫スキャンダルでCMなどのTV画面からは消えてしまったが、映画では重厚な役で使われ続けるのは、それはそれでいいんだけれど。

ネットでは松岡茉優を叩く記事を目にするけれど、彼女の演技は好きだ。インタビュー記事や対談番組での発言を聞くと、まったく違う世界に居る人だという印象しか受けないけれど、俳優なんて元々そんな物だったはず。現在は一般人と役者の距離が近くなりすぎただけの話。

やっぱり原作読んでみよう。
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