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書評「教場0 刑事指導官・風間公親」 [書評・映画評]


教場0 刑事指導官・風間公親 (小学館文庫)

教場0 刑事指導官・風間公親 (小学館文庫)

  • 作者: 長岡 弘樹
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/11/06
  • メディア: 文庫


正月のスペシャルドラマ「教場」の主人公風間公親の前日譚。つまり、警察学校の教師になる前の物語。
巡査から刑事になったばかり三ヶ月経った新人で、見込みがありそうなのが、「風間道場」に送り込まれる。風間公親の元で三ヶ月間しっかりチェックを受け、独り立ちするか、元の巡査に戻るかの選択を迫られる。6話の物語で、それぞれ6人の新米が登場する。そして当然ながら、最終話ではエピローグとして風間の右目が無くなったいきさつが描かれる。
男女込みの6人はそれぞれ。あらかじめ他の登場人物に情報を聞いていたりするが、的外れな推理が結果オーライの者もいれば、風間の動き一つで何を要求されているのか勘の鋭い刑事もいたり、巡査に戻ってしまおうかと本気で考えている者もいる。

物語は刑事コロンボのオマージュと作者が述べるように、犯人が最初にわかっていて、そのトリックやら犯行状況を追い詰めながら解き明かしていく。コロンボでは単独で犯人を追い詰めるが、日本の警察は二人一組で捜査するのが原則。追い詰める役を新米刑事が担当。見のがしている部分があれば風間から宿題として出され、期限までに気づかなければ転属願いを提出させられるという。まあ結論としては6人とも合格点を得られるのだが。
ちなみに各話の章題もコロンボで使われていたタイトルのもじりだとか。

犯人にはそれぞれ明確な動機があって、綿密に計算しての犯行を行うのに、あっさりと犯人が特定されてしまい、後はどのように、なぜ、証拠はどこにあるのか、という捜査の話に終始してしまう。この部分短編小説だからしかたがないのか。

コロンボと言うよりも、クリスティーの短編小説を読んでいるような気がした。

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