SSブログ

映画「パラサイト 半地下の家族」 [書評・映画評]

パラサイト.jpg
原題を「寄生虫」という話題の韓国映画。
大学を4回不合格になった主人公は、無職の両親と美大志望の妹の4人暮らし。半地下の狭い部屋で内職で細々と暮らす生活。
ある日、友人の大学生が、留学のため今やっている家庭教師を引き継いでくれないかと頼まれる。相手は豪邸に住む会社社長の高2の娘。学生と偽って受けて入り込み、社長夫人と相手の娘に気に入られる。就学生の弟が奇妙な絵を描いていることに気づき、知り合いの後輩と偽って妹を絵の先生として向かわせることに成功。小学生の息子は4年前のある出来事から情緒不安定になっていてそんな絵を描いていることを、ネットの情報から入手。しっかり信用させる。また社長の運転手が下心を持って妹に近づいたことを利用。セクハラ疑惑で首にして、親戚と偽って父親をベテラン運転手として雇って貰うことに。さらには、家付きの家政婦として働いている女性を、桃アレルギーと知って、結核にかかっている可能性があると社長夫人に信じ込ませて首にし、代わりに母親を家政婦として送り込んだ。見事に豪邸に無職だった家族4人が寄生虫のごとく入り込むことに成功。しかし、破局は日本人には考えもしない事柄から突然やって来た。

韓国映画を見るのはずいぶん久しぶり。ハングルを聞くのも1年ぶりか。ラジオのハングル講座が今年はどれも再放送なので聞かなくなったので、耳慣らしにちょうど良い。

あまりにも順調すぎる展開に、冷や冷や物なのだが、修羅場は突然訪れる。そんなものだが。しかし一応収まった後のラストはとんでもないことが。結局あちらの家族はその後どうなったんだろう。

小学生の子どもが情緒不安定になった出来事。ネタがわかってからその現象が語られるのは、ミステリーではないからわかりやすい。そりゃ、情緒不安定にもなるだろう。で、結局最後に起きた事件。裁判所はどんな判断を見せたのだろうか。理解不能な事件として処理するしかないのだろうが。

エピローグが少しは救いになるのか。嘘を本当に替えようとする未来がはたして来るのか。
nice!(0) 
共通テーマ:映画

書評「風間教場」 [書評・映画評]


風間教場

風間教場

  • 作者: 長岡 弘樹
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/12/18
  • メディア: 単行本


警察学校の風間教官は、新年度が始まる数日前に、新しく赴任してきた新校長に厳命された。
今期は一人も脱落者を出すな。もし一人でも途中退校者が出れば君にもやめてもらう。
しかし、仮入校から入校式の一週間の間に、少なくとも5・6名の生徒が途中退校あるいは転職を考えているような雰囲気を感じてしまった。はたして半年間、一人も脱落者が出ることなく卒業式を迎えられるのか。

いつもは短編小説を並べた物だが、今回は半年間の長編小説となる。と言っても、本来、一人の生徒の事件が終わって次の事件が始まるなどと言うことはない。半年間複数の生徒が複数のそれぞれの事情を抱えて、物語は並行して続く物である。だから、別々に考えればこれまでの物語とそんなに違いは無いと言っても良い。

今回も7・8人の生徒のそれぞれ別々の事情による物語が語られる。同じクラスで半年間過ごすのだから、人物関係は重なっているのが当たり前。

今回は長編にあたり、過去に登場した二人の人物が出て来る。

一人は、風間が右目を無くした事件にいた元女性刑事。なぜか風間の助手として同じ警察学校にいる。ひょっとすれば、風間の右目を無くしたことに自責の念が働いて、彼の右目代わりになろうとしてやってきたのかもしれない。しかし逆に言えば、新校長より、彼女を一人前の教官に育てることも使命の一つだと言われ、そのつもりもあるので、風間は生徒と教師の両方を見る立場に立たされてしまう。
しかしこの女性、単なる風間のイエスマンではない。なんでも過去の生徒で風間がクビを言い渡そうとしたのに真っ向から反対して、激論の末風間の主張を退けて生徒を無事に卒業させたらしい。

もう一人はこのシリーズの第1話に登場した元生徒(今は立派な警官)。ただしこちらは、ドラマで言えば友情出演並みの扱い。冒頭一週間と卒業式前に2回だけ登場。本当のゲスト扱い。

残念ながら、この風間教官シリーズ、ある事情で今作で終了のようだ。
もちろん警察学校そのものはなくなりはしないのだから、別の人物が教官となって別のシリーズが始まる可能性もあるのだが。

関係ないが、この風間を追いかけてやって来た元女刑事。あちらの物語では最後に二つの課題(自分へのストーカーを何とかするのと、風間を刺した犯人を捕まえるのと)があったのだが、それはきちんと終わらせてからやってきたのだろうか。

nice!(0) 
共通テーマ:

書評「教場0 刑事指導官・風間公親」 [書評・映画評]


教場0 刑事指導官・風間公親 (小学館文庫)

教場0 刑事指導官・風間公親 (小学館文庫)

  • 作者: 長岡 弘樹
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/11/06
  • メディア: 文庫


正月のスペシャルドラマ「教場」の主人公風間公親の前日譚。つまり、警察学校の教師になる前の物語。
巡査から刑事になったばかり三ヶ月経った新人で、見込みがありそうなのが、「風間道場」に送り込まれる。風間公親の元で三ヶ月間しっかりチェックを受け、独り立ちするか、元の巡査に戻るかの選択を迫られる。6話の物語で、それぞれ6人の新米が登場する。そして当然ながら、最終話ではエピローグとして風間の右目が無くなったいきさつが描かれる。
男女込みの6人はそれぞれ。あらかじめ他の登場人物に情報を聞いていたりするが、的外れな推理が結果オーライの者もいれば、風間の動き一つで何を要求されているのか勘の鋭い刑事もいたり、巡査に戻ってしまおうかと本気で考えている者もいる。

物語は刑事コロンボのオマージュと作者が述べるように、犯人が最初にわかっていて、そのトリックやら犯行状況を追い詰めながら解き明かしていく。コロンボでは単独で犯人を追い詰めるが、日本の警察は二人一組で捜査するのが原則。追い詰める役を新米刑事が担当。見のがしている部分があれば風間から宿題として出され、期限までに気づかなければ転属願いを提出させられるという。まあ結論としては6人とも合格点を得られるのだが。
ちなみに各話の章題もコロンボで使われていたタイトルのもじりだとか。

犯人にはそれぞれ明確な動機があって、綿密に計算しての犯行を行うのに、あっさりと犯人が特定されてしまい、後はどのように、なぜ、証拠はどこにあるのか、という捜査の話に終始してしまう。この部分短編小説だからしかたがないのか。

コロンボと言うよりも、クリスティーの短編小説を読んでいるような気がした。

nice!(1) 
共通テーマ:

TV・小説「教場」 [書評・映画評]


教場 (小学館文庫)

教場 (小学館文庫)

  • 作者: 長岡 弘樹
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/12/08
  • メディア: 文庫


キムタク主演の正月スペシャルドラマとその原作本。
半年間警察学校でのエピソードの連作。キムタク主演と言っても、誰かが「金八先生」みたいだと評していたように、生徒一人一人の物語に担任であるキムタク演じる風間がかかわる物語。
金八先生と大きく異なるのは、あちらは義務教育の中学生で一人も脱落させないのが方針なのに、こちらは不適格と判断すれば即座に退校してもらうという、考えたら当たり前の世界。犯罪を犯して退校処分になる者をいれば、個人事情でやむを得ず退校する者も現れたり。

TVドラマは原作小説の1・2の中からいくつかのエピソードを選んだり組み合わせた物。原作では1と2では違う年度のクラス生徒になっているのを、一つの年度にまとめたので、若干設定を変えたりしている。またドラマ用に大げさにしたりとかの演出も変えたりしてはいるが、基本的には原作を大きくは逸脱はしていない。

録画していたのを空いた日に一気見したが、あまりに面白くて翌日にもう1回見ただけでは飽き足らずに原作本まで購入して読んだ。

先に書いたようにキムタク主演と言いながらも、実際には生徒一人一人が主役の物語。キムタクはそんなに登場しないのに、彼の存在感が一段と目立つ。本を読んでいると、むしろ佐藤浩市の方が似合っているような気もするのだが、キムタクでまったく違和感がなかった。

一部原作と内容的に変更したのが、違法拳銃所持者を追い詰める場面。原作では何度も問い詰められてあっさりと所持を認めているが、ドラマは極めて過激な場面になった。
もう一つ、ドラマで卒業試験と称する課題。当然原作の寄せ集めなので原作にこの顔ぶれが集まることはあり得ない。で、不合格を言い渡された後の教室での場面はドラマオリジナルの設定。ちょっとこの場面だけ浮いていたような気もする。

オリジナルでよかったと思えるのは、卒業式で一人一人に声をかける場面。まったく金八先生のまねごとだが、ドラマの締めくくりとしてはいいだろう。それと、原作にはまったく出て来ることがない、卒業生が赴任してからの生活を描いたこと。特に、事情あって退校した生徒のその後も見せたこと。物語に余韻を残したことでよかったと思える。
キムタク主役でありながら、生徒役一人一人が光っていた良いドラマだったと言える。
おまけ。最後に「あの人」が出て来るのはお約束でしょうね。しかもからんでいるのが最近よくからんでいる人の場面だし。

nice!(0) 
共通テーマ:テレビ