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TV・小説「教場」 [書評・映画評]


教場 (小学館文庫)

教場 (小学館文庫)

  • 作者: 長岡 弘樹
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/12/08
  • メディア: 文庫


キムタク主演の正月スペシャルドラマとその原作本。
半年間警察学校でのエピソードの連作。キムタク主演と言っても、誰かが「金八先生」みたいだと評していたように、生徒一人一人の物語に担任であるキムタク演じる風間がかかわる物語。
金八先生と大きく異なるのは、あちらは義務教育の中学生で一人も脱落させないのが方針なのに、こちらは不適格と判断すれば即座に退校してもらうという、考えたら当たり前の世界。犯罪を犯して退校処分になる者をいれば、個人事情でやむを得ず退校する者も現れたり。

TVドラマは原作小説の1・2の中からいくつかのエピソードを選んだり組み合わせた物。原作では1と2では違う年度のクラス生徒になっているのを、一つの年度にまとめたので、若干設定を変えたりしている。またドラマ用に大げさにしたりとかの演出も変えたりしてはいるが、基本的には原作を大きくは逸脱はしていない。

録画していたのを空いた日に一気見したが、あまりに面白くて翌日にもう1回見ただけでは飽き足らずに原作本まで購入して読んだ。

先に書いたようにキムタク主演と言いながらも、実際には生徒一人一人が主役の物語。キムタクはそんなに登場しないのに、彼の存在感が一段と目立つ。本を読んでいると、むしろ佐藤浩市の方が似合っているような気もするのだが、キムタクでまったく違和感がなかった。

一部原作と内容的に変更したのが、違法拳銃所持者を追い詰める場面。原作では何度も問い詰められてあっさりと所持を認めているが、ドラマは極めて過激な場面になった。
もう一つ、ドラマで卒業試験と称する課題。当然原作の寄せ集めなので原作にこの顔ぶれが集まることはあり得ない。で、不合格を言い渡された後の教室での場面はドラマオリジナルの設定。ちょっとこの場面だけ浮いていたような気もする。

オリジナルでよかったと思えるのは、卒業式で一人一人に声をかける場面。まったく金八先生のまねごとだが、ドラマの締めくくりとしてはいいだろう。それと、原作にはまったく出て来ることがない、卒業生が赴任してからの生活を描いたこと。特に、事情あって退校した生徒のその後も見せたこと。物語に余韻を残したことでよかったと思える。
キムタク主役でありながら、生徒役一人一人が光っていた良いドラマだったと言える。
おまけ。最後に「あの人」が出て来るのはお約束でしょうね。しかもからんでいるのが最近よくからんでいる人の場面だし。

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