「life 天国で君に会えたら」 [書評・映画評]
一度文章を書いて、ほとんど書き上げかけたのに、突然データが消えてしまった。
なんということか。
実話を元にした映画。幼い子ども4人を残し、ガンにかかり、余命3ヶ月を宣告されたプロのウィンドサーファーの亡くなるまでの闘病記。自身のホームページでほぼ毎日のように綴られた闘病日記が元になっている。
ノンフィクションの話のドラマ化を見るたびにいつも思うのは、どこまでが実話で、どれがドラマのための創作部分なのかというところ。たとえば、こんなのあり得ないと感じる部分はたいてい創作部分だったりする。それを思うと素直に感動できなくなる。
さらにそれに輪を掛けているのが、「映画の原作」とされている2冊の本のうち、同じ題名の本が、「原作」とは名ばかりのまったくオリジナルの創作小説であること。本人の体験に基づいてはいるのだが、映画とはまるで関係ない物語だからだまされた気分になってしまう。映画を見て原作を読みたいと思った人は、上記にあげた本だけにしてほしい。
そしてこの本にしても、映画の前半部分、ハワイに移住するまでの話が出てこない。いや、断片的には出てくることはあるのだが。若いカップルでの貧乏ツアーの話、子供達は名前から全て実話通り、ガンにかかり外国の豪邸を売り払って日本に来る話、不安に耐えきれずに鬱病になりパニック障害を起こし引きこもりになり、恩師が先にガンで亡くなっても葬式にも出られなかったこと、余命三ヶ月の宣告を受けて、それでも立ち直りハワイに移住する話などが、ほんとに断片的にしか出てこない。
だから映画で挿入される感動的な場面が原作にまったく出てこないのは、遺族にインタビューして知った話なのか、映画のための創作なのか、それがわからないから感動できない。もしこれがフィクションだと断ってくれたならそれで感動できるのだが。
映画自身はいい映画なのだが。特に本編の中で流れる桑田佳祐の主題歌が印象深く使われている。メロディーがずっと残っている。こういうのこそ「主題歌」という言葉にふさわしい。
まあ、あり得ない部分の多い映画ではあるのだが。