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映画「世界で一番美しい夜」 [書評・映画評]

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ある無名の過疎の村が「13年連続出生率日本一」ということで政府から表彰されることになった。
大挙して東京に出かける一行の中に一人の少女が混じっていた。
物語は13歳の少女(市川春樹)がそのいきさつを語る話になっている。学校の課題でこのことを研究してまとめたところ、校長から呼び出されて説教されたという。村の重大機密事項だから公表するなら退学にすると言う。腹を立てた少女が東京のジャーナリストにメールとして送るという設定。

わかりやすく言えばR18指定と言うことがすべてだが、映画はそれでとどまらず、大人の童話に仕上がっている。ある意味きわめて真面目であり真剣であり、そういう意味では指定でなくてもいいのだが、映像的には指定はしかたがないか。昔ならモザイクかかっているくらいだし。

14年前に村に一人の新聞記者(田口トモロヲ)が左遷されてきた。クビ同様の者が流される監獄のような支社という。実際には同僚の罠にはめられて飛ばされたことが終わりになって明らかにされる。もっとも最初からそんな感じがしていることがわかるからネタバレでもないだろう。
男は挨拶がてら村の重要人物に会いに行くが、村の実権を握っている神主(若松武史)から、村には危険人物が2人いると聞かされる。一人は船に住み着く二瓶(石橋凌)という元テロリストで爆弾を製造しているらしい。もう一人は村に一軒あるスナックのママ(月船さらら)で保険金詐欺で男を二人殺し、怪しげなオカルト宗教にはまっているという。
新聞記者は特ダネをつかめば本社に戻れるとばかりに調べ出すが、事実はおかしなことになっていく。神主自体がスナックのママをくどいて振られた腹いせにデマを流しているようで、船の男はスナックのママの幼なじみでお互い助け合っている関係だから二人一緒に村から追い出そうとしているようだった。
奇妙なのはスナックのママが実は元精神科医で、事実婚約者と夫の二人を突然の心臓麻痺で亡くしていた。事実はママが精力絶倫で男達が死んでいったのだが、其れ以来医者を止め、禁欲をつらぬくうちに超能力が身についたらしい。究極のシャーマンになり、こっそり相談に来る村人の心身を治していたのだった。息子を自殺に追い込んでから酒浸りの男を霊を見せて立ち直らせたり、霊感商法に陥っている妻を見てもらいに来た男に対しては、逆に男が浮気をしていて悪霊に取り憑かれていることを示して追い払う現場を目の当たりにして記者は考えを改める。
船の男は過激派から身を洗い、逆に縄文時代並みの愛のパワーを世界に巻き散らかそうと研究しているのだった。
神主から雇われた暴力団の組長をもスナックのママは彼の心身を癒して追い返した。心配してかけつけた船の男に自分の過去を話して、二人はお互いのパワーを信じてはげしく抱き合った。
おりしも神主に先導された村人達が船に押し寄せ、男が研究していた縄文時代の媚薬をそうとは知らずに解放してしまった。

1年後同じ誕生日の子どもが何人も生まれ、その年から毎年、出産可能な女性は必ず子どもを産んでいったという。

語る少女には「へそがない」という落ちがつく。この少女の親が誰なのかは途中で見当が付くが。
大挙して東京に行く一行から離れて、少女とおそらく弟妹たちはある行動を取る。それが冒頭の少女の妹の一人が行っている映画の宣伝写真。
エンドロールが流れた後にも少しだけおまけがついている。

けっこうとんでもない映画なのだが。
縄文時代が本当にそんなパワーがあったのかとか。中学・高校以上の人間に影響を与えたとなると学校は大パニックになっているはずとか、産業もない村で住民が大量に増えれば生活が破綻するのではないかとか。語り手は13歳なのだから退学はありえないよなとか。この学校の校長は最低13年間も校長やっているのだろうかとか。(村長とかは変わってないこともあるが)
それと主人公を陥れた悪人達はどうなったのだろうかとか。語り手の少女に弟妹がいるようだが、彼らの父親は誰なのだろうかとか。(実の弟妹じゃないのかもしれないが)

まあ、あまり詮索しすぎると面白くなくなるからいいことにして、単純に童話として見ればけっこう楽しい。一般の童話でも矛盾とかはいっぱいあるんだし。

オマケ

こういうR18指定映画を見ていつも気になるのは、けっこう子役がたくさん出演することが多いけれども、彼らは自分たちが出演している映画を見ることがあるのだろうか。語りをしている少女も実際には16歳だから見ることはできないはずで、試写とかで関係者だけで見るのも本当は違反ではないのかと思ったり。どうなんだろうね。

さらにオマケ

元タカラジェンヌの月船さららがここまでやってもいいんだろうかと心配してしまう。
まあ同じ元タカラジェンヌだった天海祐希の映画デビュー作「MISTY」もR18指定だったということもあるから同じなんだろうが、あちらよりかなり過激だと思うが。
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