SSブログ

映画「ゼブラーマン・ゼブラシティーの逆襲」 [書評・映画評]

ゼブラーマン.jpg超大型ヒーローアクション物の「ゼブラーマン」の続編。
前作で地球制服を狙うエイリアンを倒して一躍ゼブラーマンがヒーローになってから、15年後の世界。

男(哀川翔)が気づいた時、そこは暗黒の世界だった。男は記憶失っていて、何がなんだかわからないまま、不気味な集団に襲われ、行き場のない所まで追いつめられて100発を越える銃弾を撃ち込まれた。吹っ飛ぶ男に連動して、なぜか離れた場所にいる、この不気味な世界を作り上げた人気女性歌手(仲里依紗)がのけぞる。

男は、この暗黒世界に戦いを挑もうとする青年(田中直樹)に助け出されて「白馬の村」という施設に連れ込まれる。不思議なことに男は体内に100発の銃弾がありながらも生きていた。その施設にいた25歳の医師(井上正大)は彼を見て驚いた。男こそ15年前に地球を救ったゼブラーマンその人であり、医師は男が小学校教師だったときの生徒で、唯一ゼブラーマン誕生に関わった生徒だったのだ。

15年の間に何が起きたのか。東京は「ゼブラ-シティー」と名を変え、23区をまるごと含む地域を朝夕5分間、殺人を含む暴力行為が認められる世界に変わっていた。それを牛耳るのが先の人気女性歌手、ゼブラ-クィーンと呼ばれる若い女性だった。
15年前に倒したはずのエイリアンは絶滅せず、生き残った存在が10歳の一人の少女(永野芽郁)の体内に封じ込められたまま、少女は10歳の姿のまま成長せずに、この白馬の村に助け出されていた。記憶のない男は少女との接触で、不思議な力によって変身能力が復活する。それは同時にゼブラ-クィーンの覚醒にもつながった。実は男とクィーンは元は一人の人物で、強制分離器によって「善」と「悪」に分けられたのだった。二人はお互いの存在を感じ、必然のように近づいていった。クィーンはエイリアンの生き残りを解放するために。

ネットでの予告で、この続編が製作されると知った時に興味が起きたのだが、その時には前作は見ていなかった。急遽レンタルして見たのだが、いやいやコメディータッチにあきれるやら。なにしろ「空を飛ぶ」ために衣服がぼろぼろになるまで橋の上や木の上からジャンプして練習を繰り返したりとか、笑ってしまうほど実に人間くさくて。そして一変してラストは見事に本物のヒーローになりきってしまう。
今作は、前作を見ていないとさっぱりわからない。当然だろうが、逆に前作を遥に越えたスーパーヒーロー物アクションドラマに仕上がっている。
もちろん宮藤官九郎脚本だからつっこみどころ満載でしっかり笑わさせてくれる。
一番笑えるのは、一度は分離した黒ゼブラーと白ゼブラーが合体をしようということになったとき、ご丁寧に布団を敷き始める所。思わず医師が少女の目を覆うのだが、設定では25歳となっている肉体年齢10歳の少女が、現実から目をそらせたくない、と言って覆った手を払いのける。あのーー、意味がかなり違っているんですけれど。

最終ボスであるエイリアンをやっつけるのに、それはないでしょう、というオチ。あきれるを通り越して、好きにやってくれと言いたくなる。

黒ゼブラーを演じる仲里依紗は迫力たっぷり、主役の哀川翔と少しもひけをとらない。時をかける少女を演じた人と同一人物とはまったく思えない。設定何歳だか知らないが(分離した時にすでに成人形態だったが)、当人は若干二十歳。たいした女優になっていくことだろう。
連続TVドラマでゼブラーマンを演じたという設定の田中直樹もしっかり役者になりきった。TVではヒーローだったが現実はそんな甘い物じゃないという悲哀が感じられて、二枚目顔なのに中身が一致しないという設定にぴったり。
クィーンの部下役の阿部力や、医師の井上正大も実に良い配役だが、秀逸は鍵を握る謎の少女役の永野芽郁かもしれない。11歳らしいが、まだまだそんなに出演作品はないけれど、これからどしどし使われていく気配を感じる。

ちなみにこのシリーズは冗談から出来上がったそうだ。
某TVドラマのゲストに哀川翔が本人役で出演した時、アドリブで、今「ゼブラーマン」という映画を撮っていると言ったとか。そのアドリブが本当になって、2003年に映画出演100作目記念映画として作られたという。その時の時代設定が2010年。物語の中では、主人公が少年時代に3作だけ放映されて打ち切られたTVドラマがあって、その時代設定が2010年で、その年にドラマ通りにゼブラーマンが誕生するという物語だったが、実際に2010年になったことで、続編を作ることになったという。変身ヒーローとしては最年長だとか。今回の時代設定は2025年。当然ながら次回の続編は2025年に上映と言うことになるだろうという笑い話。哀川翔が何歳になるか知らないが、やるのも面白いと言っているとか。

宮藤官九郎の脚本は実に馬鹿馬鹿しくて楽しい。設定自体はおどろおどろしく、バイオレンス物なのに、根底にコメディータッチがいっぱいに散りばめられている。それも吉本新喜劇並みのセンスで。だから一粒で二度美味しい、というのが人気の秘密。彼なら本当に2025年を見越しているかも知れない。
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。