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映画「フローズン・タイム」 [書評・映画評]


主人公は美大生の男性。恋人と別れたばかり。なのに彼女の方は早くも新しい彼氏を作っている。
別れのショックで夜も寝られない。本当に眠れなくなって一日の時間が8時間も増えてしまった。
増えた時間スーパーに買い物に行って、夜間清掃員募集の張り紙を見つけて早速雇ってもらった。余った時間を売ったような物。怠惰な時間が流れていく。そしてある日いきなり時間が止まった。

この物語はラブストーリーでもあり、コメディーでもある。決してラブコメではない。二つのドラマが共存している。そしてB級映画でもあり芸術作品でもある。B級映画につきものの猥褻な映画でもあるが、それと芸術が一体化している。

スーパー内で止まった時間の中、主人公の美大生は女性客のスケッチを行っていく。自分のためだけのモデルであるかのように好きなように衣服を脱がせてポーズを取らせて。すべて描き終えたときすべてを元の状態に戻した後、彼の合図でまるで何事もなかったかのように時間は動き始める。まさに凍り付いた時間。

スーパーに個性的な店員が集まっている。最初に出会ったレジのやる気のなさそうな女性、スタントマン志望のトキオの山口達也似の男、エッチなことしか関心のない仲間の男、後から入ったカンフー好きの青年、そして調子の良いスキンヘッドの店長。ドタバタコメディー風に物語は進められていくが、レジ係の女性が、最初はブスに見えるのだがだんだんと魅力的な女性になってきて主人公と親しくなっていく。ところが店長の誕生パーティーに全員が招かれて、彼らだけが呼ばれたのではないのは当然だったのが、なんと主人公の元カノも偶然来ていた。主人公が美しい女性と親しくなっているのを見て嫉妬からよりを戻そうとして一悶着。
時間を止めたりスローにすることはできたのだが、元に戻すことはできない。

でラストはきわめて美しい、冒頭にあげた雪の静止した場面でしめてくれる。
監督はファッション・フォトグラファーの人の初監督作品だとか。この映画で使われた、自身の映像美が本当に個展で飾られていたりもするとか。
B級としてR15指定ではあるけれど、芸術好きな人には見て損しない映画かもしれない。

原題を「CASHBACK」というのはセンスも何もない。「フローズン・タイム」という言葉も物語の中で出てくるのだから日本題のようにそうすればよかったのに。

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