SSブログ

映画「レッドクリフⅡ」 [書評・映画評]

レッドクリフ.jpg
史実の三国志にフィクションを加えてできた「三国志演義」。一番最初に滅んだ蜀を起こした劉備は負け戦続きで、判官贔屓で主人公になりやすく、彼と彼の軍師である諸葛亮(字は孔明)を主人公にした物語が一般受けする。そしてそれを下敷きにしてまたまたフィクションを加えてできたのがこの映画。
一応横山光輝のコミックの三国志を全巻学校の図書館で読み通して、吉川英治の小説版も全巻読破した。さらには本物の日本語訳「三国志」(歴史書として一級資料の)も読み通した。吉川英治版で終わりが中途になっている部分だけ別の作家の本で補った。
そういう読者から見れば、三国志の本当の主役は曹操であり、劉備はただただ弱くて情けない人物にしか見えない。

で、この映画だが、フィクションにフィクションを重ねた結果、本来の三国志に近い作品になったのかもしれない。解説には曹操を暴君として書いてあるが、映画内では大軍をまとめる大物であり、かつ文化人として本来の姿で描かれている。特に病症人を思いやる彼に感激して部下達が一致団結する姿は本来の曹操の姿よく描いている。

本来はパート1と2と合わせて1作品なんだろうが、あまりにも長すぎる。しかし逆に言えば冗長な部分も多く、2作まとめて余計な部分を削ったら3時間でおさまったかもしれない。
余計な部分の代表と言えば、劉備の家来、張飛や関羽が完全に浮いてしまっている。劉備軍が主役の三国志演義なんだから仕方がなかったのかもしれないが、こと「赤壁の戦い」だけ見れば孔明と周瑜が主役なんだからもっと絞った方がよかった。

フィクションを交えた結果、本来の三国志演義に出てくる逸話、皮肉の計や連環の策が省略されてしまった。さらには、クライマックスの泣かせどころである関羽と曹操の物語も、前段の部分を削ってしまった結果描かれなくなってしまった。ここが原作で一番の名場面なのに。
大画面で見る派手な戦闘場面を中心に映画化された結果そういうことになったのだろうが、Ⅱでの戦闘場面はまだしも、Ⅰでの戦闘はまったく蛇足でしかなかった。
まあ、「6回見ると次の1回が無料」のチケットの期限が迫っていたのでタダで見た映画だからいいけれど。

しかし、どう見ても劉備軍は貧弱で小物で仕方がない。孔明はまったく戦闘場面には出てこないし、劉備は優柔不断だし。この後、あの勇ましい孫権の妹と一緒になるのだが、これでは頼りなくてどうしようもない。
まあ史実は実は本当にこうだったのだから、その意味では正しく三国志を伝えているのだからいいのかも。

でも、字幕版を見に行ったのに、いきなり日本語のナレーションが入るのはどうにかならないか。興ざめでしかない。
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。