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映画「さんかく」 [書評・映画評]

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東京で同棲している姉の元に、中学3年生の妹「桃」が、夏休みを利用して泊まりに来た。
本当は東京の学校にいるあこがれの先輩に会ってデートする為だったが、肝心の先輩は桃と会うのが煩わしいことを隠そうともせず、バイトで出会った彼女もいるという。
東京に来た目的を失った桃は、暇をもてあました結果、姉佳代の彼氏である百瀬に色目を使ってうっぷんを晴らそうとする。特に何の意味も目的もない行為だったが、同棲生活に倦怠期を感じていた百瀬にとっては新鮮な感覚で、ついつい誘いに乗ってしまう。

この映画は、一夏のさんかく関係の物語かと思っていたが、実は、夏休みが終わって桃が家に戻った後から本当の物語は始まった。あやうい同棲生活に亀裂が入り、取り返しのつかない事態へとはまっていく。

この物語は、ある意味、3通りのストーカーの物語である。失恋した先輩にストーカーまがいにつきまといかけた桃が、今度は逆に百瀬にストーカーまがいにつきまとわれる。その百瀬も別れることになった佳代からしつこくつきまとわれストーカー行為で警察に訴える。
加害者が一転被害者になり、被害者が気づかぬうちに自分も加害者になっていたという。

男臭い高岡蒼甫が、後輩には偉そうにしていばりくさり嫌がられ、自分大好きながら自分以外見えないダメ男を演じていて、なぜか実に似合っている。田畑智子はうっかりした発言から大好きな彼と別れるはめになり、元に戻すためにかえって相手の嫌がる行為をし続けてしまうどうしようもない悲しい女性を見事に演じている。初ヒロインの小野恵令奈はその印象通りの小悪魔を天然に演じている。
小野恵令奈を最初に知ったのは「ひぐらしの鳴く頃に」だったが、印象は強いのに演技の印象がまるでないというイメージだった。今回、存在感は実に強いのに、口を開かないでセリフをしゃべっていて、言葉がこもって何を言ってるのかよくわからない。それが演技なのかどうか知らない。確かに入浴シーンやキスシーンなど頑張ってはいるのだが、殻一つ破れていないような。同じAKBながら先輩の彼女役でちょい役の1シーンしか出てこない大島優子の方が、さすが子役出身だけあって演技はしっかりしている。
本人もそのことに気づいたのだろうか、あるいは女優の魅力を知ったのか、本格的に女優になりたくてAKB脱退を表明したのは正解かも知れない。

だまされているのも気づかずに何でも信じ込んでしまうだめ女と、そんな姉を見て育って、要領だけで生きている妹と、すべて冷めた目でしか見れなくなっただめ男が、衝動だけで行動してしまって悲劇の結果に落ち込み、そして結局落ち着くところに落ち着いていく。
後輩に偉そうにした結果がどういうことになってしまったか、おそらくこれからも気づくことのない彼だろうが、割れ鍋に綴じ蓋。少し賢くなってまた生きていくのだろう。

かなり「イタイ」映画ではある。
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