SSブログ

映画「シグナル~月曜日のルカ」 [書評・映画評]

ルカ.jpg
大学生の恵介は夏休みに実家の近くの映画館の映写技師助手のアルバイトにつく。
映写技師長は同じ年頃の若い女性ルカ。一人で2館の上映を行っていたが、足の怪我で
映写室を行き来するのが難しくなってのバイト探しだとか。

バイト料優遇の代わりに支配人から示された3つの約束は、1.ルカの過去を聞かない。2.ルカに恋をしてはならない。3.月曜日はルカをそっとしておく。
映画館に住み着いているというルカは3年間一歩も映画館を出たことがないという。

そんなルカにしつこくつきまとう男がいて、その男は彼女のことを「月曜日のルカ」と呼んでいることや、3年前にある事件があったということが後にわかってくる。

自分自身自堕落で家を出ている父がおり、恵介と仲のよい高校生の弟春人は、金を無心するときだけ家に来る父が大嫌いだった。そんな家庭に育った恵介は「許す」という言葉の意味を悩み続けていた。そんな優しさがルカの閉ざされた心も開いていく。

この物語は、閉じこもったルカが家の外に出られるようになるまでを描いた青春物語である。

主役はAAAの西島隆弘。ナイーブで誠実な主人公を好演している。
ヒロインはこの映画がデビューの三根梓。「ダイヤモンドの瞳」というキャッチフレーズ通り、神秘な瞳が見るものの心をつかむ。過去を秘めて物静かな表情の時はどきっとする魅力がある。それだけにラストシーンで満面笑顔でいるのは興ざめである。彼女にはツンデレでいてほしかった。

ルカにつきまとう嫌らしい男を、ネクラの高良健吾があのイメージのままで出てくる。見る映画どの作品でも嫌らしくてしかたがない。主人公との性格のギャップがあまりにも大きすぎる。

映画を見た後、本屋で原作本を見つけてぱらっと見てみたが、読まない方がよさそう。原作が悪いというのではなく、映画サイズのコンパクトで十分という気がする。これ以上にルカにしゃべらせたくない。


個人的なことではあるが、昔8ミリカメラを持っていた。当時大流行した「フジカ・シングル8」。カセットで誰でもが簡単に写せる物。
ただし今のビデオカメラと違って手間が大変。現像に出さないといけないし、編集もしないといけない。
そんなわけで、編集セット一式も持っていた。また映写機もあったし、ついでながら16ミリの映写資格も持っていた。当時はフィルムを借りても資格がないと上映できなかった。いろいろ難しいことがある。

劇場映画はサイズがまだまだ大きいけれど、基本的には16ミリと同じ。だから映写を学んでいる場面ではうごく懐かしかった。編集をしている場面なども、そうそう、そんなこともやったなとか。けっこう好きだったし、はまるもの。
もう一つついでながら、星空映画界も昔はよくあった。あの世界はけっこうなつかしい。

映画はきまじめな青年と過去に傷を持つ少女とのロマンスだが、昔の映画を見るような印象がある。ある意味古くさいというか。
そんなせいもあるが、映画館にいたのは僕を含めて2名だけというかなり寂しい映画。でも、派手に宣伝だけやるのに中身が無くてたぶんコケているだろう映画よりもずっと心に残る。
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。