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書評「望郷」 [書評・映画評]


望郷 (文春文庫)

望郷 (文春文庫)

  • 作者: 湊 かなえ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/01/04
  • メディア: 文庫


瀬戸内海に浮かぶ因島出身の湊かなえが、因島をモデルにした
「白綱島」という島を舞台にした6話の短編集。それぞれの
話につながりはない。

妻の田舎が因島である。妻の両親がどちらも因島の人間で、
結婚して後仕事の関係で最初は大阪に、そしてすぐに京都に
移り住んで現在に至る。京都で生まれ育った妻も、出生地は
因島で、親戚一族がこぞって因島にいた。今は関西に出て
きたのが多数で、残っている人たちも、親の代の親戚達は
ほとんどが亡くなっている。

結婚してほどなく、親戚参りに因島に行った。その後娘が
まだ小さい25年以上も前に3人で行った。都合2回行った
と思っているのだが、1回の記憶違いなのかどうか定かでない。
島の中央部にある、五百羅漢で有名な白滝山にも登った。

因島の中の人間か、そうでないかでこの本の読み方が
違ってくるように思える。内側の人間にとっては、身内の恥を
言われるような気分でなんか読みづらい。おまけに島の
イメージが浮かんでくるのがとても邪魔になる。

作者の湊かなえは教員経験もあることから、学校内部の話も
多い。特にイジメ関係の物語が多い。そういうのも読みづらい
原因の一部にもなっている。

たんたんと故郷の想い出を語る物語かと思えば、ラストで
いきなり、実はミステリーでした、と謎解きが始まる。
ウ段も隙もない展開。
だから、途中読みづらくても、最後にオチがあると思って
読むのだが、それでも、中の一編「雲の糸」は読みづらかった。
相当我慢しないと読めない。正直言って嫌な展開の物語。
救いがないような。まあ6作品すべてがイジメがからんだ
ストーリーなんだが。他の作品は一応なんとかきっちり
終わらせてくれてるんだけど。まあ他にもこの先どうなるのか、
きちんと書いてくれていないのもあるにはあるが。

解説に頼まれて書いている人が、対岸の尾道市出身の人。
同じ橋を眺めていても、まったく違う印象で眺めていた
ことを書いている。対岸の火事は見ているだけなら
いっときの出来後tに過ぎないけれど、内側の人にとっては
この後どうしていけばいいのか、明日の生活にも困る事態と
なる。そんなことで、読み方が違ってくる。

正直、いくら湊かなえの作品でも、この手の作品は
読むんじゃなかったと思ってしまった。

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