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書評「今昔百鬼拾遺 鬼」 [書評・映画評]


今昔百鬼拾遺 鬼 (講談社タイガ)

今昔百鬼拾遺 鬼 (講談社タイガ)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/04/19
  • メディア: 文庫


京極夏彦「百鬼夜行シリーズ」の最新シリーズ。なぜか3部作が3個月連続で3つの出版社で連続して出版されるという。今作はその第1作。

百鬼夜行シリーズは順番に読まないと大変。先に登場した人物が次の作品では主人公達のグループに参加してレギュラーとなるか、あるいは不審な人物が後の作品では殺されてしまうか、とにかく連続している。外伝に近い榎木津探偵事務所を舞台にした「薔薇十字探偵社シリーズ」なども、本作の間に挟まる物語で、時間経過がわからないと混乱する。

で、レギュラーがどんどん増えていくのに、なぜかレギュラーで加わっていてもおかしくはない女子学生がその後の作品に登場していなかったのだが、今作でやっとレギュラー入りを果たした。もっとも、このシリーズも外伝扱いで、男連中はほとんどが別の事件(題名だけは公開されているのに未発表の作品)に参加していて不在という。でr、主人公が京極堂の妹の中禅寺敦子に回ってきた。ちなみに男連中で残っているのが、中禅寺敦子にどちらも気があるB級雑誌の編集者の鳥山と警視庁の青木刑事だけという。(青木は名前だけだが)

で、「絡新婦の理」でのヒロインが本当は京極堂または榎木津探偵に持ち込むはずの事件が敦子に回ってきたという。
しかし外伝らしく、京極堂に近い発想を持つ主人公に、榎木津探偵の影響をもろに受けてしまった女子学生のコンビは、本編の二人よりまともといえる。京極堂のように最後まで思考を見せずにいるのではなく、探偵のようにはちゃめちゃにしてしまうでもなく、まともな思考の持ち主が本編の二人を穏やかにして物語を紡いでいくのだからわかりやすい。

外伝らしく、探偵事務所のシリーズと同じように、各章の冒頭を同じセリフで最後まで通したり、遊びが入っていて読みやすくなっている。第1作しかまだ読んでいないのだが、このシリーズ、けっこう楽しみである。

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