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ハリーポッター死神の秘宝・第17章「バチルダの秘密」 [書評・映画評]

第17章「Bathilda's Secret」

ダンブルドアの古い友人バチルダ・バグショットに会うことも一つの目的だったのですが、会った彼女はとんでもない事件をハリーに引き起こします。16年前の出来事が鮮明にハリーの意識に埋め込まれます。
そして魔法使いとして致命的な出来事に遭遇することになりました。

誰かがいる。ハーマイオニーは杖を取り出して用心しました。気のせいかもしれません。あるいは猫かうさぎか。マグルに化けているから杖はおかしいだろう、と言えば、マグルに見られないようにしている墓場で花をささげるマグルはいないとやりかえされます。
墓地を出て透明マントを着ます。酒場は教会から出てきた人でにぎわっています。寄っていきたかったのですがハーマイオニーは先を進みます。町を抜けて来たときとは反対方向に進みます。ハリーが急に早足で進みます。ハーマイオニーは凍った道で滑りかけました。草が伸び放題の家がありました。2階が壊れたままになっています。マグルには見えないように魔法がかけられています。ハリーが生まれた家でした。どうして修理しないのかとハーマイオニーが言います。闇魔法で修理できないのでは、と答えますが、実際には戦いがあったそのままで保存されていたのです。

 1981年10月31日の夜 リリー&ジェームス・ポッターが命を落とした場所
 息子のハリーは死の光線を浴びて唯一生き残った
 この家はマグルには見えないように、そして引き裂かれた家族を忘れないために
 ポッター家の記念として残された

ここを訪れた人たちが書き込みをしています。
「どこにいても元気でなハリー」「これを読んでいるハリーへ、みんながついてるぞ」「長生きしろよハリー」
ハーマイオニーはこういった落書きに腹を立てますが、ハリーは元気つけられたと喜びます。

誰かが近寄ってくるのを感じます。老婆でした。透明マントに隠れてやり過ごそうと思いましたが老婆はハリー達のそばで立ち止まります。家を見ているのでしょうか。マグルには見えないはずだから魔法使いでしょう。しかし老婆は手招きします。まるでハリー達が見えているかのようです。どことなくダンブルドアのような特殊な能力があるような雰囲気がします。ハリーは思いついて尋ねます。
「あなたはバチルダ?」
老婆は頷くとまた手招きします。ハリーが前に進むと老婆は振り返って進み出しました。着いてこいと言う感じです。二人は老婆の後をついていきました。一軒の家に入りました。古びた家です。しばらく手入れをしていないような。家の中にはいると少し嫌な臭いがします。ほこりがいっぱいです。老婆の服も長らく洗っていないような感じです。ハリーの胸元でロケットが振動します。壊されるときが近づいたのを感じて恐れているのではとハリーは思いました。

バチルダは二人の間を通ろうとしてハーマイオニーにぶつかります。まるで彼女がそこにいるのに気がついていないようです。ハーマイオニーはちょっと変な感じを受けます。
バチルダが呼ぶので隣の部屋に入ります。写真のフレームがいっぱい飾ってありますがほこりがいっぱいでよく見えません。ハリーは魔法でほこりを取り除きました。すると写真はまったくありませんでした。バチルダか他の誰かが移動させたのだろうと思いました。1枚だけ残っていた写真がハリーを釘付けにしました。あの金髪の泥棒、グレゴロビッチを襲った若者です。その瞬間ハリーは思い出しました。彼はリタ・スキーターの『ダンブルドアの生涯と嘘』の本の中でダンブルドアと肩を組んで一緒に映っていた少年です。ということは、ここにあった写真はほとんどがリタの本のために持ち出されたのでしょう。
「バグショットさん、彼は誰ですか?」
ハリーはこの質問を何度も彼女にしましたが彼女はまるで意識がないようで答えてもくれません。何をしているのか聞くハーマイオニーにもハリーは説明しました。バチルダはハリーに2階に上がるように手招きします。なぜかハーマイオニーは止められます。ハリーはこっそり若者の写真を抜き取ってポケットに忍ばせて2階に上がります。その間ハーマイオニーは本棚を見ています。

ハリーは2階で剣を渡してくれると期待しますがどうも要領をえません。
「あなたはハリーですか?」
老婆が聞くのでハリーが答えます。胸元のロケットが激しく動き出しハリーのセーターをも動かします。冷たい声が聞こえたように感じました。「こいつを逃がすな!」
何が起きているのかハリーにはわかりません。老婆はようやく部屋の隅を指さすのでそこに行きますがルビーのような赤い物が見えるだけです。ハリーは杖を取り出しました。振り返って老婆を見ると、首筋から蛇が現れていきなりハリーに襲いかかります。一度に恐怖がおそいかかりました。杖を持った腕を蛇がからみつきます。ふりほどこうとしても離れず、逆にしっぽでハリーをとばしました。杖が飛んでいきました。大蛇がハリーにのしかかり身動きできません。「そのままつかまえておくんだ」声がします。大蛇がハリーを締め付けます。ロケットがハリーの胸に食い込んできます。下からハーマイオニーの叫び声がしますがハリーは答えられません。呼吸が苦しくなり意識が遠のいていきます。心臓が飛び出てセストラルや箒もないのに宙を浮かんでいるような感じでした。ナギニは締め付けをゆるめ上からハリーに襲いかかろうとしたそのとき、悲鳴を上げながらハーマイオニーが飛び込んできました。彼女の呪文がカーテンの陰の窓に当たりガラスが飛び散ります。冷たい空気が部屋になだれ込みました。ハリーは意識が戻り身をよけようとして足下に落ちていた杖を見つけます。

杖を拾いましたが足下は蛇だらけです。ハーマイオニーの姿を捜していると赤い光線が部屋中に飛び交いました。ハリーの額の傷が猛烈に痛み出します。あいつがとうとう来たのだ!
ハリーはようやくハーマイオニーを見つけ出すと痛みで悲鳴を上げる彼女を引きずり出しました。蛇が狙っています。しかし蛇より怖ろしい物が近づいていることを知っています。あいつは門まで来ています。蛇が襲いかかる瞬間ハーマイオニーは呪文を唱え、部屋中いろんなものが飛び交いだしました。ハリーは傷だらけになりながらもハーマイオニーを連れ出し窓を開け、空中に身を投げ出しました。

ハリーは意識が遠のき、彼はヴォルデモートの意識の中に入り込みました。

彼が部屋に飛び込んで窓の外を見ると、中年の夫婦がまさに消えていくところでした。彼の叫び声がクリスマスの町に響きました。彼の叫びはハリーの叫び。彼の痛みはハリーの痛みです。ここで起きたことは以前にもこの町のすぐ近くで起きたことでした。彼はあの夜のことを思い出していました。
彼はあの夜すべるようにこの町に来ました。この日を待っていたのです。町を通り抜け、隠れ魔法は破られていますが彼らは知りません。部屋の窓のカーテンは開けられていて中の様子が見えます。父親は赤ん坊と戯れ、母親が寝かしつけるために赤ん坊を奪っていくと、父親は杖を机の上に置いて横になりました。おろかな。
彼は玄関のドアを開けました。あわてた父親が降りてきましたが杖を持っていません。母親に赤ん坊を隠すように言います。ここは自分が守るからと。杖もなくて何ができるものか。死の呪文に父親は糸の切れたマリオネットのように倒れました。
2階に上がると母親が赤ん坊を子供用ベッドに置いてかばいます。ハリーに手を出さないで、と言いながら。そこをどけ、と何度言っても離れません。緑の光線が母親を父親と同じように倒しました。赤ん坊が無邪気に手を差し出します。コートに身を隠していると父親と勘違いしているかのようです。杖を上げると自分がジェームスではないことに気づき、危険を感じたのか泣き出しました。死の呪文を唱えました。
その瞬間、呪文は打ち破られました。痛みも恐れもなく彼は消え去りました。赤ん坊がトラップだったのか彼は遠い、遠いところに飛ばされました。

蛇が部屋中にいます。彼はバチルダの家の窓際に立っていました。大失敗の記憶がよみがえっていました。足下に食器やガラスが散らばっており、その中に見つけました。あの名も知らない泥棒の写真を。ハリーは写真を落としてしまったことに気がついて意識が戻りました。

ハリーはハーマイオニーに助けられテントに戻っていました。蛇に腕をかまれた傷はすでに手当てされています。戻ってきて朝が来るまで眠っていたようです。ハーマイオニーはホークルクスをハリーの胸からはずしてとりあえずバッグにしまったそうです。ロケットはハリーの胸に痣が残るほど食い込んでいてはずすのが大変だったようです。
ハリーはゴドリック・ハローに行ったことを謝ります。もっともハーマイオニーも行くことに賛成したのですから今回は誰も責められません。2階で最初何があったのかハーマイオニーは知らないので説明しました。おそらくバグショットはすでに死んでいて、ヴォルデモートが彼女の体を利用して蛇を住み着かせてハリーが来るのを待っていたようです。彼女がハーマイオニーを避けたのは、最初から蛇語を使っていたからでした。ハリーには違いに気がつかなかったのです。

怪我をしているから眠るように、見張りは自分がするからとハーマイオニーが言いますが、休んでいないのはハーマイオニーの方だから自分が見張りをするとハリーが言います。自分の杖を捜しますが見つかりません。ハーマイオニーに尋ねると泣き出しました。訳が分からないのでしつこく尋ねると、彼女が出したのは真っ二つに割れてしまったハリーの杖でした。蛇を攻撃するのに呪文がいろんなところにはねかえり、ハリーの杖に当たってしまったようです。呪文で直せないかやってみましたがだめです。
「事故だからしかたがないか。まあ、なんとか修理の方法を考えよう」
「無理だと思う。ロンの杖が壊れた時のことを覚えているでしょう。車の事故で彼の杖が折れたとき、結局買い直さないといけなかったことを」
オリバンダーはヴォルデモートにさらわれて監禁されている。グレゴロビッチは殺されてしまった。誰から新しい杖を買えと言うのでしょうか。とりあえずハーマイオニーの杖を借りて見張りをすることにしましたが、彼女が出てしまうなどのようなことがないように願うのでした。


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