映画@「ツリー・オブ・ライフ」 [書評・映画評]
実に退屈な、面白くない映画だった。
冒頭、わけのわからない映像が長時間流れる。映画を間違えたのかと思った。
「アース」とか「ライフ」とか、そんな感じの映像が延々と流される。
ほとんど寝てしまいそうだった。
本編はある家族の物語。ブラット・ピット扮する父親に3人の男の子が生まれる。
そしておそらく長男なんだろう、ショーン・ペン扮する晩年を迎えた男が
自分の少年時代を振り返るという話。
前もって予告編で内容を聞いているからwかるものの、何も知らないで見れば、
この男は一体何者で、この家族とどんな関わりがあるのかまったく謎だろう。
何の説明もなく、何のつながりもなく映像が流される。はっきり言って、この
ショーン・ペンは不要だと感じた。
厳しすぎる父親がいて、実は言行不一致。口で偉そうに言うけれど、自分は
それをやっていない。子供達に見透かされて逆ギレするくだらない親父。
こんな父親の元にいて、長男はぐれて、町の悪ガキ軍団のボスになっていたり。
そりゃ無理ないよと子どもに同情してしまう。こんな少年がどうして後に
成功者になったのかはなはだ疑問。
家族の物語は19歳の次男の死亡通知が配達されるところから始まるが、
そこから両親の結婚、子供達が生まれていく場面に遡るのに、とうとう
子供達の青年時代までいかなかった。だから次男がどういういきさつで
亡くなったのかも語られない。まったく不親切な映画。
親から子どもに伝わる物は太古の昔から続いていた物と言いたいのだろうが、
まるで理解できない。息子が晩年になって気がついたと言いたいのだろうが、
実は少年時代に長男はすでに自分は(大嫌いな)父親に一番似ていると
語っている。だったら晩年の彼は不要だろう。
ナレーションが長男と母親の祈りになっているのは別にいいけれど、だからと
言って、創世記を意識したような退屈な映像は、作り手の自己満足以外の
何者でもない。結局何が言いたいのかまるでわからないし、誰もこの
登場人物達に共観も覚えない。
はっきり言って損をした。