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映画「レイン・オブ・アサシン」 [書評・映画評]

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香港での原題を「剣雨」という。英語の題名が「レイン・オブ・アサシン」
しかし、英語の綴りは「reign」。つまり雨ではなく支配という意味。
英語での深読みというか、ゴロ合わせなのかもしれない。

お宝を巡っての暗黒集団との戦いのドラマ、と思いきや、実は夫婦の愛情劇だったりして。
監督が「レッドクリフ」を作ったジョン・ウー。あの本来男臭い三国志の物語を
2組の男女の愛の物語に変えてしまった監督だからさもありなん。

奥義を究めた達磨大師の異体を手に入れた者には武術を支配する力が得られるという
そんな伝説の元、大師の遺骨は二つに分断されて行方知れずとなる。
上半身を持つという宰相の家に暗殺集団「黒石」が襲いかかり、宰相とその息子を
殺して遺骨を奪うが、集団の中の一番の腕利きである女性「細雨」が遺骨を持って
姿を消してしまう。
彼女は師匠から4つの弱点を指摘され、今のままでは命を落とすと、命がけの教えを
受け、過去のすべてを消すことを決める。
医術の秘技を持つ医者から整形手術を受け、別人として街に住まう。
そんな彼女に一人の貧しい配達業をいとなむ阿生という男がちょっかいを出していく。

冒頭暗殺集団の殺戮のアクション、主人公と師匠との戦いなど派手なアクションを
見せた後、一転してコミカルなホームドラマが始まる。
いろいろあって二人は新婚家庭を築くことになるが、平和な日々は長くは続かなかった。
二人して金融業にお金を受け取りに行った時、たまたま強盗集団が押しかけ、
客を皆殺しにして立ち去ろうということでは、気絶したふりも役立たず、戦う羽目に。
素手で全員を倒して、役人が駆けつける前に逃走したが戦いの手口から彼女を
追いかけていた暗殺集団に正体を見破られてしまう。

そこで3人の刺客との争いになるかと思いきや、物語は一転別の方向に。
暗殺集団のボスが、彼女を見逃す代わりに、遺骨を引き渡すことと、もう半分の
奪取に手を貸すようにせまり、あっさりと了承するという。
結果的には遺骨を手に入れた後で、再び争うことになるのだが。

しかし、一般市民のはずの夫に正体が知られないようにしているにも関わらず、
彼女が瀕死の状態で家に帰っても夫は少しも騒がず、追っ手が家に押しかけても
すでに予期していたように平静な行動を取るという。二重の謎がからみあい、
どんでん返しが待ち受ける。

さらには、重傷の主人公の傷を治すために夫が呼んだ医者が、あの整形手術を
施した医者とあっては、この時点で観客はおおよその人物関係が把握できる。

最後の大トリックは、すでにしっかりとわかりやすく伏線を敷いてあるので、
観客は安心してラストを見ることが出来る。よくできた物語である。

ジョン・ウー監督作品だから、こういう安心して見られるのかも知れない。
見る前の予想と違って、アクションだけに頼らずに楽しめた映画だと思う。

もっとも、せっかく達磨大師の完全な遺骨を手に入れたのに、結果はどうなったのか、
その答が出ていない。そして、主人公の穴埋めとして加わった女性暗殺者が、短い
期間であれだけ剣術をマスターするというのもどうなのか。3人の刺客が完全に
死んでいない(それを言うならボスもだが)状態で終わっているようで、
この続きがあるのだろうか。別に必要ないが。

しかし、ボスが必死で遺骨を追い求める理由もわからないではないが、
観客はがっくりきていないだろうか。立場的には穴埋めで加わった(文字通り穴埋めか)
女暗殺者の方がわかりやすい。知り合いに似た顔の人がいるのでちょっと気になったのだが。


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