CDアルバム「呼吸するピアノ」 [見たよ聞いたよ]
アイドル集団AKBグループ内にあって、たぶん唯一の本物の音楽生。絶対音感を持つ現役音大生である松井咲子のピアノソロアルバム。
コンサートではよくピアノ演奏をしていたというが、一般にその名が知られたのは、特技を持つ芸能人がその腕を競うTV番組で、ピアノ部門で頂点に立ってから。
このアルバムではAKBの曲7曲にアルバム全体の編曲者である服部隆之氏作曲のオリジナル3曲、そしてボーナストラックでモーツアルトピアノソナタが入っている。
緊張するピアノソロとジャズセッション等が交互に緩急織り交ぜて編集されているので、アルバム全体を自然に聴きやすくなるように構成されている。
圧巻は2曲目の大胆なクラシック風編曲の「会いたかった」。何度聴いてもぞくぞくしてくる。また、オリジナル曲である「歌う血液~宇津井健の加圧トレーニングのテーマ~」という、なんじゃこの曲名はという曲は、曲名に惑わされてはいけない、叙情たっぷりの心しみる名曲を女性らしい演奏で聴かせてくれる。
一人連弾という難局もあったりするが、合間の曲では実にリラックスして楽しく演奏していることが感じられるものもあり(若干気になる音もあるが)疲れを感じない。
音大生のクラシックピアノというと、アニメ・コミックの「のだめ」を思い出したりもするが、あの映画のピアノは男性ピアニストが演奏していたのが聴いていても明らかで興ざめしたものだが、このCDは、のだめならこんな演奏かもしれないと思わせるような内容だった。
本物の演奏を生で見たいなと正直思った。