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書評「むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし。 」 [書評・映画評]




評判のシリーズ最新刊。今回は原点に戻って日本の昔話・伝承が中心。
とは言っても、ある1作は、O・ヘンリーの中編小説を意識した作品で、昔話をうまく利用して無理ない設定に仕上げた上に、見事なオチが用意されている。本文中に何度も繰り返し書かれているにもかかわらず、最後まで気がつかなかった。
さらにもう1編は、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を日本の実在人物が関係するある有名奇譚をモチーフにした作品。実は、本家の「誰もいなくなった」には、小説版と舞台版で異なる結末の2バージョンがあるのが知られているが、贅沢にも、このシリーズの第1巻と今作で両方のパターンを作品化した。
そして、直接的にはからまないが、ある1つの事件の犯人の目的が、シャーロック・ホームズシリーズのある短編で使われた動機と同じであることは、読んだことのある人しか気がつかないだろうが。

今回は、4人の名探偵が登場。いずれも魅力ある人物ばかり。
激怒すると鬼の形相になる奉行所の役人、陰陽師蘆屋道満の末裔で、式神を操る16歳の少女、三年寝太郎が実は優秀な安楽椅子探偵だったとか、そして家に籠もったまま外に出ようとしない彼に代わって、ワトソン役で外部との連絡役を務める、天真爛漫な12歳の少女も、寝太郎の知恵を受け継いで、見事な推理力を果たしていく。
それぞれ今回限りというのが実にもったいない、しかし、

なんとなんと

帯に曰く「驚きの最終巻!!」
そりゃ、有名昔話もネタ切れするでしょうが。でも、もったいない。
間違いなく今作が、これまでのシリーズの中で最高傑作だと言える。

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