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書評「薬屋のひとりごと2」 [書評・映画評]


薬屋のひとりごと 2 (ヒーロー文庫)

薬屋のひとりごと 2 (ヒーロー文庫)

  • 出版社/メーカー: 主婦の友社
  • 発売日: 2018/04/27
  • メディア: Kindle版


古代中国風の場所が舞台。花街で生まれ育った薬屋の養女が、人さらいに宮殿内後宮の下女に売り飛ばされ、目立たずに雇用期限終了まで待つつもりが、毒に関する異様な知識を元に、持ち前の好奇心とちょっとした正義感から、宮廷内に起きた事件に関わった結果、異常に美貌を持つ後宮管理責任者の目にとまり、王妃の侍女に抜擢され、責任者を通じて持ち込まれるさまざまな事件を解決する物語。
前作である事件の最善の解決策を提案した結果、連座制でクビになって花街に戻るも、彼女を失いたくない管理責任者によって買い戻されるまでが前作のラスト。

今作も後宮だけでなく、宮中内外のさまざまな事件に関わるのだが、本筋が2本、小さな事件の積み重ねが実はある大きな事件につながっていくという物語と、主人公の出生に関わる物語と。特に中盤初めに初登場する嫌みな怪しげな軍師が執拗に主人公にこだわっている。徐々にこの人物が誰なのか判明していくが、それでも気持ち悪い人物であることには変わりない。
しかし、ある出来事で、主人公の後押しをした時点で、あれっと思わせた後、最終で彼自身の視点で書かれた章が心揺さぶられる。おまけに、ある人物と思わぬ関係がわかって驚き。すっきりとした終わりを迎えて、この人物の印象が180度変わってしまった。
「ハリーポッター」でも、嫌われ役の人物が、彼の生涯の記憶をハリーに渡して、感動に変えてしまったことを思い出す。もっとも今作では男の事実は、彼をよく知る人物から聞かされた断片しか知ることはないのだが。

ところで、皇室の人間以外の出入りする男性はすべて去勢されている後宮に、どうにも去勢されていなさそうな管理責任者の正体は匂わせるだけで明かされない。いつかはっきりさせるのだろうか。まあどうでもいいが。

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